リーダーシップとは~様々な理論をご紹介~

リーダーシップとは~様々な理論をご紹介~

リーダーシップについて考えてみる

リーダーシップと聞いて、皆さんは誰を想像しますか?

日本史好きの方は、織田信長や坂本龍馬、世界史好きな方は、ナポレオンのような昔の偉大な人物を挙げるかもしれません。

Wikipediaによると、「リーダーシップ(英語: leadership)とは、指導者としての能力・力量・統率力」と記載されています。

大変大まかな表現であり、この説明だけでは違和感を覚える方もいらっしゃるでしょう。リーダーシップとは、そもそも指導者のみに限定されている言葉なのでしょうか??ここで、リーダーシップについて2つの観点から見ていきましょう。

リーダーシップの2つの観点

時代の要請の観点

1700年代、イギリスを発祥に第一次産業革命が起きました。

その工場では、マネジメントとコントロールを行うリーダーシップが要求されていました。リーダーシップの発揮などは、部下の従業員の間では論外でした。以降、徐々に1960年代以降のコンピュータの登場による第三次産業革命、2010年以降のデジタル、物理の融合による第四次産業革命などにより、それぞれの多様性を活かしていくことが必要になりました。

仕事が複雑になるにつれ、作業をこなしてモノを作ってきた時代から、一人ひとりが考えていかなければいけない時代へ移行していきます。

実際、日本の知識労働者の割合は、1970年に43%だったのが、2004年に55%まで増加しています。

リーダーシップも有り方が変わり、指導者は、単純なマネジメントやコントロールだけでなく、やる気を促すことが必要になり、多様性を活かしたすコミュニティ作りのできる人材が求められるようになりました。

部下達も、この時代に入り、自分で考え動いていくことが求められるようになり、リーダーシップの発揮が求められない、言われたことだけをこなすという形から変化していきました。

時代の要請から、フレデリック・ラル―の著作である、「ティール組織」でも、リーダーシップの変遷について、時代によって組織の形が変わってきているのが捉えられます。

掲載の図をご参照ください。自分達の会社、部署の今いる段階を考えると、必要なリーダーシップが何かが自然と見えてくるかもしれません。

リーダーシップの理論の観点

リーダーシップは、以上の様な時代背景から形を変えて行きます。

それでは、ここからどのように移り変わっていったのかを見ていきましょう。

その歴史は古く、古代ギリシャのプラトンは、著書「国家」の中で“統治者たる者は善のイデアを理解できる哲人であるべき”と言っています。

言葉はまだありませんでしたが、当時から既にリーダーシップの在り方について考えられていました。

しかし、プラトンの記述にもある通り、当時は、属人的な素質や特性から優れたリーダーの条件を見出そうとしていました。これが、【特性理論】です。

リーダーシップの理論

(1)特性理論

「優秀な指導者に共通する特徴を、人物の資質や特徴に見出す」理論です。

この理論は、初期のリーダーシップで強く支持されていました。

これは、歴史上の偉大なリーダーには、共通の特性があるのではないか、と19世紀に哲学者であるトマスカーライルが考えられたことから起こりました。特性理論の中でも、この考えは「偉人論(Great man theory)」と言われています。

その後長期に渡り、「リーダーシップとは何か」を語る理論の主流になったのが偉人論です。

冒頭に名前を出した、織田信長やナポレオンは、偉人論的な考えの持ち主と言えるでしょう。リーダーシップと聞くと、今でもこの偉人論を想像する人も多いことでしょう。

その後、リーダーの持つ特性、あるいは、リーダーシップと高い相関関係のある特性を、1930年代にアメリカの心理学者ストッグディルが、調査しました。リーダーシップの研究は、この頃から、本格的に盛んになります。

外見的な身長、体重、体格から、知能、雄弁さ、判断力、持続力、ソーシャルスキルまで多くの特徴について網羅されており、調査の結果が124も収集されました。

分析によると、知能、学力、責任遂行の信頼性、活動・社会的参加、社会経済地位において、リーダーと認識されている人の方は、そうではない人よりも優秀であることが認識されています。

しかし、リーダーの素質を見極めるための指標であった特性論の研究は、1940年代に衰退していきます。その理由は、この理論は「リーダーとそれ以外の人」を大きく区別するには、役立ちますが、「リーダーシップを備えた人材」を探究するには不十分だったからです。

この理論は、「リーダーシップは天性のもので、生まれつき持っているものである」という考えをベースに研究されてきましたが、共通的な特徴というのは見つかりませんでした。

そこで、「誰もが身につけられることができ、先天的なものではない」という新しい仮説が成り立ちました。

リーダーシップの認識が、時代の変化により変わっていったことは、大きな要因の一つだと言えます。結果、リーダーシップについての研究は、「特性理論」から【行動理論】へ移行していきました。

(2)行動理論

優秀なリーダーは、どの様な行動のパターンによって作り上げられるのかを研究され、「優れたリーダーシップの人」と、「そうではない人」の活動のパターンに注目していきます。

行動理論が必要になったのはなぜでしょうか?

その登場は、1940年代になります。それまで特性理論が主流で、リーダーシップは生まれ備わっている性質と認識されていましたが、これでは、優れたリーダーになるための、問題へのアプローチができませんでした。

時代的にも大企業が増え、従業員も増加の一途を辿り、リーダーの必要性は高まっていきました。

優れた指導者になるため、「模範的なリーダーの行い」に注目して、あるべきリーダーを、彼らの言動から導く研究が始まりました。

ここに2つの有名な行動理論を紹介します。

①マネジリアルグリッド論

ブレイクとムートン提唱の、「マネジリアルグリッド論」という行動理論の研究の例があります。

リーダーシップを、管理者の「生産への興味」と、「人間への興味」の2軸捉え、それぞれ9段階で評価し、81パターンに分けるという理論がマネジリアルグリッド論です。

大きく分けると、この81パターンは以下5種類に該当します。

「無関心」型:1.1型(興味が人間及び生産の両方ともに低い)

「権威服従」型:9.1型(興味を生産にのみ持つ)

「カントリークラブ」型:1.9型(興味を人間にのみ持つ)

「組織人間」型:5.5型(興味を生産及び人間の両方ともに程よく持つ)

「チーム管理」型:9.9型(高い興味を生産及び人間の両方に持つ)

②PM理論

日本の心理学者、三隅二不二が提唱したのが、PM理論(Perfomance and Maintenane Theory)になります。

リーダーシップについての評価を、「目標を達成する能力(Perfomance)」と、「集団を維持する能力(Maintenance)」の2軸で行います。

それぞれ「パフォーマンス」と、「メンテナンス」の各頭文字を使い、高い場合は大文字、低い場合は小文字で記号化し、4つのタイプに分類されます。

「pm」型(目標を達成する能力、集団を維持・強化する能力の両方が低い)

「pM」型(目標を達成する能力は低いが、集団を維持・強化する能力は高い)

「Pm」型(目標を達成する能力は高いが、集団を維持・強化する能力は低い)

「PM」型(目標を達成する能力、集を維持・強化する能力の両方が高い)

能力の分析をシンプルに行えるこの理論は、実用的でどのような用途にも対応しているため、現在も広く使われています。ですが、行動理論には人物の能力だけに目を向けている理論という欠点があります。

外的要因である役割や環境なども、実際のビジネスシーンでは数多く存在し、態度や行動は、それらに合わせて変わってくるという風に考えられています。

そのような適応能力については、行動理論では説明ができません。

そして、どういった状況下においてどういった行動が適しているのかを研究することが必要になりました。その理由は、ある状況下において優秀であっても、その他の状況下では、優秀とは限らないという理由からです。

リーダーシップの研究は、どういった要因のあるときに、どういったリーダーが優秀になるのかについてを追求する【条件適合理論】へと、「行動理論」から移行していきました。

(3)条件適合理論

この理論は、行動理論では補えない、「指導者を取り囲む状況」も考慮したものです。

これは、行動理論に比べると比較的柔軟な性質になります。リーダーシップの在り方はその時々の様子、メンバーの特徴に合わせて変えることが必要で、同じではないという点に焦点を当てられているのが注目すべき特徴になります。

条件適合理論の前提は、下記2つになります。

必ず部下がおり、その下の部下のことも考慮できる。

業務の進め方は、仕事難易度により変わる。

様々な条件適合理論がある中で、ここで主要な3つをご紹介します。

①コンティンジェンシー理論

「偶発」の意味を持つこの理論は、組織の管理方針を、外部の環境変化に応じて適切に更新していく理論になります。

「組織が置かれる課題の状態により、リーダの取る姿勢は異なる」と意義付けられており、「リーダーシップ条件適応理論」とも呼ばれている、1964年F.フィドラーによって提唱された、コンティンジェンシー・モデルが有名です。

彼は、組織を束ねる力は「役目」であって、「素質」ではないと言及し、コンティンジェンシー理論は、「役目の思想」が基盤になっています。

指導者の行いについての条件変数が、「状況好意性」と言われている以下の3要素からなる概念で定義付けられています。

組織の中で他メンバーが受け入れるレベル

仕事や問題の明確さ

部下コントロール時の権限の強度

主体的に指導者がアクションを取る際は、上記3つの数値は高くなり、部下、指導者の信頼関係構築が必要な際は、低くなるという風に考えられています。

②パスゴール理論

「部下の目標(ゴール)到達のために、どういったパス(道筋)を出していけばいいのか」を考える理論で、1971年にR.ハウスが提唱しています。

この理論では、リーダーがとる行動タイプを4つに分類しています。

「指示型」:達成する方法やプロセスを明確にして、細かく指導する。

「支援型」:細かい指令は出さず、環境を快適に作り出し、信頼関係、自発的な発想、その承認に重きを置く。

「参加型」:メンバーに相談してから、提案を採用する。

「達成志向型」:高い目標を設定し、全力を発揮することを求める。

ハウスは、「環境的な要因(組織体制等)」と、「個人的な特性」の2つに分け、パス・ゴール理論で、指導者を取り巻いている状況を分析しました。発揮すべきリーダーシップは、組織の体制や、メンバーの特徴により異なることを説明しました。

③SL理論

1977年にP.ハーシィ、K.H.ブランチャードにより提唱されました。SL理論では、リーダーシップを「部下が習熟しているレベル」によって、4つに分類されます。

「教示的」:習熟度が低い段階。メンバーに指示をする。タスクに対する志向が強く、人間関係に対する志向が低い。

「説得的」:習熟度が上がってきた段階。メンバーに意思を説明して、納得の上で実行する。タスクに対する志向、人間関係に対する志向とも強い。

「参加的」:更に、習熟度が上がってきた段階。メンバーと相談し、考え方を合わせる。タスクに対する志向が低く、人間関係に対する志向が高い。

「委任的」:自立できた段階。仕事の決断をメンバーに委ねる。タスクに対する志向、人間関係に対する志向とも低い。

その他の条件適合理論同様、「状況に応じて、発揮すべきリーダーシップやスタイルを変える」ということを、SL理論でも基本としています。

ほとんどのリーダーシップ行動モデルは、現在、条件適合理論がベースになっており、環境条件により、「パス・ゴール」「SL」といった理論だけでなく、「状況応変型」「エンパワーメント」、更に「エモーショナル」「変革」「サーバント型」「オーセンティック」などあらゆるモデルのリーダーシップが生まれています。

リーダーシップとは

これまで、2つの観点より多様なタイプを見てきました。「リーダーシップとは、~である」と一言では言えないほど、多種多様な使われ方をされていることは理解いただけたのではないでしょうか。

その中で、リーダーシップをただ「リーダーだけのものである」とか、「引っ張っていくものであるもの」など、画一的な見方をすることはできません。

現在では、会社によって新入社員にもリーダーシップを求められる時代にもなってきています。1930年までの人材育成者達からすると、信じられない状況かもしれません。

では、リーダーシップとは一体何でしょうか。

それは、「人として、もしくはビジネスパーソンとしての在り方」と言えるのではないでしょうか?リーダーシップがそう言えるなら、自分自身が会社、部署、顧客、競合、部下、上司、自分の人生等々それぞれとの状況を認識し、それに沿った在り方というものを選択できているのか、ということが問われるのかも知れません。

そして、選択するためには、どのような在り方があるのかを知り、必要に応じて自分で考えなければなりません。

そのためには、日々の学習が必要不可欠になると考えられます。まず、ここで説明したリーダーシップについて、ご自身なりに調べるところから始めてはいかがでしょう。そして、何より現場の状況観察を意識してみましょう。

皆さんは、自分の在り方を選択できていますか?

この記事を書いた人

栗林 陽

「少しでも良い社会のために」

大学までサッカー小僧として時間を過ごす。新卒時は大手IT企業へ就職。その後シドニーへ語学留学。半年過ごしたシドニーで自分を助けてくれた恩人のおかげもあり、多くの人に寄り添える仕事に従事しようと、研修業界へ就職することを決断し、現会社へ。

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